あぁ、Mちゃん。
あなたは、いつの間に、そんなお姉さんになっていたの。
放送係になったMちゃん。
私が出だしの合図をすることになっており、
「どうぞ」
というと、
「まだ。
まだ、準備できてない。」
という冷静な答えが返ってきた。
おぉ。
なんという、しっかりしたダメ出し。
確かに、目の前では、次の競技の準備が進められている。
むしろ、適当な私が恥ずかしくなった。
そして、彼女はさらに、こう、私にささやいた。
「もう、大丈夫かもしんない。」
その視線は、状況判断する明晰な色に染まっている。
ほれぼれ。
私は、彼女をリーダーと思い、かしこまって立つ。
彼女は、私の方を向いてうなづき、
それにこたえるかのように、私もうなづく。
そして、しっかりとした彼女の声が響き渡った。
あぁ。
なんという感動だろう。
2歳さんの頃から、
本当に声が小さくて、
身体も細くて、友だちと打ち解けるのも難しかったあなたが、
こんなにしっかりと、透明で理知的な輝きを帯びて、
ここに立っている。
眠っていた宝石が輝き始める。
そして、心の翼は、大きく広がり、
上空を目指して舞い始める。
われわれに、あらたな希望の光がともる。
子どものすてき。
ついでに、詩人ドウモトマミコのすてき。