若草幼稚園は、いったいどうしたのか。
先生がバタバタと体調を崩し、
すごいことになっている。
そして、年長さんのクラスに入った。
お掃除の時間、みんなが床を一休さんで拭いているなか、
4人の男の子が輪になって、「いちに、さんし、いちに、さんし」と、
同じところをただ拭きはじめた。
のびて~、ちぢんで、のびて~、ちぢんでという感じ。
何やっとんのかいな、
と思いながら見て、
「他の人が拭いてないところ、見つけて拭いてね~。」
と声をかける。
すると、その集団が、「いちに、さんし」をやめて、
「えんちょ(園長)、えんちょ(園長)、」と拭き始めた。
意味のなさぶりが実に笑える。
すると、別の子が「仲間に入れて」といって、入った。
これは、仲間に入ることなのか?
と心で突っ込む。
次に、この不思議集団は、
「ばーか、ばーか、」と拭き始めた。
なにっ。
しかし、「ばーか」だけでは、わからないので、
「園長バカ」と提案したものもいたが、
いいづらいと判断されたらしく、
さっきから声のあがっていた「やまんば」が採用される。
「やまぁ んば、やまぁ んば、・・・」
と拭き始めるが、これは妙にしまりがない。
そこで、出てきたのは、
「えんちょうやまんば」だった。
さらに何故か仲間も増え、
言葉数が多くなり、タイミングを合わせなければならないので、
全員の集中度が高まり、そのせいで、声はとても低くなる。
「えんちょうやまんば、えんちょうやまんば、えんちょうやまんば、えんちょうやまんば・・・、」
と、一心不乱に雑巾を前後に動かす姿は、
もはや不気味でしかなく、
呪いか、それは、
と突っ込みたくなった。
その後、この不気味集団は、
「まみこ、まみこ、まみこ、」
と拭き始め、無事解散した。
大変意味もないことの題材に選ばれる園長を、
大変光栄に思った。
園長の幸せ。
子どものすてき。