園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2018.04.30

みんなに配って、怒られて。 ・・・年長児

 

今年は、さくらんぼが早くて、おいしく採れる、

脚立で収穫していると、工事の方が、もっと高い脚立を貸してくれた。

そこで、高い方の脚立に乗って採っていると、

年長のSくんが、低い方の脚立に乗って、採り始めた。

 

彼は。

幼稚園の環境では足らない子であり、

いつも、新しいものを求め、刺激的なものを求めて、あえいでいる男である。

身体能力もずば抜けており、頭の回転もものすごく早い。

だからして、私的にはどこか申し訳なく思う次第であるから、

やはり、こういうことはさせてやりたいと黙ってみる。

 

しかし、彼の向う見ずなところが心配で、

傍に立つ。

最初は慎重である。

足場もしっかりしたところを選び、

割れてない物を見極めて、下で待っている子たちに分け与える。

そして、予想通り、高い方の脚立を選び、

採りはじめる。

私の声は多少厳しくなるが、それでも見守る。

他の子も、挑戦しようとしているが、

恐いようで、自分から辞めていく。

採るところがなくなると、

少し足場の悪い所を選び始める。

それを阻止すると、今度は、身体を伸ばして、遠くの実を採ろうとする。

予想通りの展開になってきた。

私は、「もう、終わりにしなさい。」と声をかけ、

彼の脚を支える。

と、枝がぼっきり折れて、あわや転倒という事態になる。

 

そこで、

「だからいうたろう!

 自分が特別ってこともわかってるはずや。

 やめなさいって、言ったらやめなさい!」

とかみなりを落とす。

 

すると、彼は、涙ぐみ、

私が肩を抱くと、腰にしがみついてこう言った。

 

「一個も食べてない。」

 

ぶふ。

そうかそうか。

全部、みんなに配ってたもんね。

というわけで、スペシャルきれいなさくらんぼを5つとって、

「みんなに頑張って採ってくれたSくんに。」

と渡した。

 

笑顔に戻ったSくんだったが、

予想通りに危険だった。

 

子どものすてき。