お泊まり保育では、いろんなドラマがあった。
Kちゃんは、おうち以外のところが苦手な子である。
おばあちゃんのお家に泊まるのも、苦手である。
そんなKちゃんが、Sちゃんがいるからと、
その気になってくれた。
だから、先生たちみんなで、支えていこうと話し合った。
登園してきた彼女は、顔面が蒼白だった。
あぁ、辛いんだな、と思った。
夜ご飯のときも、その蒼白な表情は変わってなかった。
ただ、淡々と、
そこにいることを心がけていたようだった。
5歳にして、彼女は修行僧だった。
でも夜は、すっと眠りに落ちていった。
担任のF先生が、とんとんをしてくれて、
F先生は、とても透明な人だから、
きっと、安心できたのだろう。
そんな彼女が、お母さんにお話ししたのは、
蝉の鳴き声とお月様の光だった。
修行僧のように、自分に降りかかる苦しみや痛みを、
平常心で乗り越えようとする、
その心に響いてきたのは、
自然の営みだった。
自然の変わらない偉大さ。
こうして、詩人って生まれるのかなと、
ふと思った。