運動会前。
相変わらず、ひっちゃかめっちゃかで、
言うことをまるで聞かん、メンバーたちだが、
一人一人は、大変素晴らしいできあがりを迎えていた。
そんななか、何度も何度も、やりたいというKちゃん。
この頃では、とーっても大きな声で、
それがまた、とーってもかわいくて、
その弾けるような生き生きとした声に、
聞き惚れる。
と、最終日。
何度も繰り返したあと、
「じゃ、もう終わろっか。」
というと、
「うん」とうなづき、
「声、残しちょく。本番のために。」といった。
「うん、Kちゃん、どんどん上手になってるね。
まみこ先生、聞き惚れてるわ。」
というと、
「こんなに大きい声だしたの初めて。」という。
「え?そうなん。」
「うん、いつもは、そんなに声ださんもの。」と恥ずかしそうにいった。
「あら、すっごく素敵な声よ。」
というと、嬉しそうにニコッと笑った。
生き生きとした、その弾けるような、
一生懸命さにあふれた声の裏には、
日頃の自分へのそんな思いがあった。
そして、それを乗り越える自分の喜びとエネルギーが、
声に込められていたのだった。
本番も、彼女はとてもいい声でやりきることができた。
それを同じ放送係のMちゃんが、
「Kちゃんの声、すっごくきれいやった。」
と言っていた。
子どもって、本当にすてき。