Tくんは、目がぱっちりとした一般的に非常にかわいい子で、
動きもたいへん活発で魅力的で、
「何をするか。」ということを、
とてもよくやってくれる男の子である。
先日は、朝から永遠と口げんかをしていたSくんとRくんの間に、
ままごとの包丁が入った箱を持ってきて、
「これで戦いや。」
などと言い出す。
何をしてくれるのかね。
それで、ケンカしていた二人は案の定盛り上がってしまい、
その道具を投げ合って、軽くけがまでしちゃったのである。
というわけで、もちろん怒られる。
隣で聞いていた担任が、
「もう、そのまんま保護者の方にお伝えしていいですね。」
「はい、そうして下さい。」
の言葉に、とたんに顔色が変わり、
「いやだ~。」と泣き出す。
「仕方ありません!
けがしちゃったんだから!
いらんことするからや。」
というも、本気でそのハンサムな顔が崩れまくる。
「わかった、わかった。
ほんなら、もうしっかりと怒りましたから、
お家では怒らんとっちゃってくださいって、言ってあげる。」
というと、とたんにほっとした顔をする。
そんな彼の様子を見ながら、
「そうはいっても、
怒られちゃうかもしんないけどね~。」
と、去りながらつぶやく園長であった。
つづく。