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日々わくわく
子どものすてき
きらりと光る子どもたちの姿をみなさんにお届けします。
2019年3月30日
やりとりを学ぶ ・・・年少児

 

彼には、ある種のツボがあり、

そのツボが外れるとすさまじく怒って泣く。

小さい頃は、そのまま後頭部からひっくり返って泣いていたので、

頭を守るために、後方に座布団を置いておくこともあった。

私は、そんなふうに怒る彼を見ると、

どうしてか、あっかんべ~をしたくなる。

 

そんな彼が、倉庫にひっそりと隠されてあった泥団子を手に取った。

ちなみに、何かを倉庫で探していると、

「なぜこんなところに?」という隅っこに、

さら粉がいっぱいに詰まったバケツとか、

固くて干からびた泥団子が出てくる。

 

Yくんが、その泥団子を持っていこうとするので、

「それは、持って行きません。

 代わりにまみこ先生が作ってあげる。」

といって、あきらめさせる。

 

そして、ちょいとまだ柔らかめの泥団子を作ってから、

「はい、Yくん。

 どうぞ。」

と渡す。

 

彼は、それを持った途端「むにゅ。」となったことが許せず、

「やわらかい~!!」

と怒って、それを投げ捨てた。

 

「あ~!やったな~!」

と私はそれを拾い上げ、

「もっと、固くしてあげるから、

 固くして下さい、

 と、言いなさい。」

という。

彼は、わめいていて、聞く耳持ちません、

という感じであったが、

私がもう一度、強い口調で繰り返すと、

「もっと、固くして下さい。」

と言った。

 

そこで、ちょいとさっきより固い泥団子を作り、

それを彼に渡す。

「ふんが~。」となりそうな矢先に、

「はい、もっと固くして下さいは?」

と言う。

彼は頑張って、「固くして下さい。」と呟く。

 

そこで、今度は本当に固い泥団子を持っていった。

彼は、それを指先でぐーっと持って、固さを調べる。

結構、慢心の力を込めていたので、

あぁ、割れたらどうしよう、

と思ったが、無事割れず、彼はそれをお気に召した。

 

すると彼は、偶然傍らにあったさら粉を、

その泥団子にかけはじめた。

さら粉を集めていた女子たちは、何も言わず、許してくれた。

彼にとって、泥団子作りはこの過程なんだな、と思った。

しかし、彼はかけているだけで、ちっともこすっていないので、

こすり方を教えた。

 

帰り、Yくんに会って、

「泥団子また作って下さい、って言って。」

と、また無理矢理言わすしつこい園長に、

小さい声で、「また作って下さい。」と応えたYくんであった。

 

子どものすてき。

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