Kくんが、あるお母さんの手の平に乗っているカタツムリを、
多少強引に手にする。
「カタツムリがほしい。
ぼくも。」
だがしかし、それはYちゃんが見つけて、
お母さんに持ってもらっている物だから、
あなたは自分で見つけなさい、
と言い、一緒に見つけに行く。
カタツムリマンションに到着。
「はい、どこに居ますか。」
「ここ。」
「あ、ほんまや。
どうぞ。」
「・・・・。」
「どうぞ?」
「・・・・。」
そして、おそるおそる手を出し、
さっと引っ込める。
?
さっき、人のは奪うように取ってましたよね。
平気でしたよね。
「自分でとってみいや。」
「いやだ。
まみこ先生とって。」
「いやだ。
自分で取りなさい。」
おそるおそる手を出して、
つまんでひっぱるも、その弾力に負けて手を離す。
「さっき、人のは奪ってたじゃないの。
自分で取りなさい。」
だがしかし、彼は取れなかった。
勇気を出して取ってみたが、落とした。
そして、最後には、「カタツムリ嫌い。」と言った。
そうして色々聞いていると、
かなり嫌いものがあることがわかった。
彼が人のものを割にすぐに奪ってしまう裏側には、
好奇心と恐怖心がミックスされているのかしらと、
思った次第である。
そういうわけで、
直に自分でかかわるという経験を後押しすることと、
その恐怖心を自覚しながら、
人、つまり保育者を通して安心するなかで、
新しいものに出会っていくこと、
の二つの方向性で、
彼を支えんといかんなと思った次第だった。
子どものすてき。