以前に、地震から身を守る方法として、
ダンゴムシのポーズがいいのか、
と疑問を呈したことを覚えていらっしゃるだろうか。
一番の問題点は、目を塞ぐことで、
「状況判断する」ことを捨てる、
ということである。
そしてそれは、「天井」という、
危険な落下物のすぐ真下かもしれない、
ということである。
これらは全て、減災教育を進めている、
江夏猛史さんから教えて頂いたことだ。
本園の場合、1階は、できる限りすばやく園庭に出ることが安全だが、
2階の保育室では、その時間はないこともある。
重い天井から身を防げて、なお且つ最も崩れにくい場所は、
備え付けのロッカーの前で、
ここにしがみついて、まわりを見ながら身を守る方法を、
教えてもらった。
これから、ここに、捕まる用のバーを設置していく。
何かに捕まって身の安定を保つのは、
ごく自然な動作でもある。
(こうなると、地震速報の存在も大変需要になってくる。)
そういうわけで、我々は新たな考え方、
至極もっともな考え方の元で、
新たな避難訓練を積み重ねている。
ここで思うのは、子どもの自然な生きる力と、
こちらの投げかけがマッチしていたら、
驚くほどそれを子どもたちは吸収するということである。
例えば、2歳児でも、「見てなきゃダメだよね、何が起こってるか、」
ということを教えた次回からは、
実にすばやくそれを実践してくれるということである。
目を働かせ、状況を把握するという動きは、
彼らにとって、自然な身を守る方法なのである。
さて、江夏さんの研修を終えて実感として思ったことは、
先生が居ないときでも、自分で自分の身を守るために動ける子どもに、
育てなければならない、ということである。
そういうわけで、
ここ数回は、地震速報による速やかな移動をやってきたが、
今回は、先生が居なくとも、安全な場所にすばやく移動する、
ということを目的としてやった。
現実、大人が移動できない揺れは、存在するのだ。
ただ、先生の声という拠り所は必要である。
そこで、放送による避難指示を行った。
だが、先生の居ない部屋で、
自分たちだけで避難することになる子がいる、
ということは、初めてである。
結果はすばらしいものだった。
多くの園庭にいた子どもたちは、
大変すばやく園庭の真ん中に移動した。
そして、2階の保育室にいた子は、
先生がいなくとも、自分たちでロッカーにつかまり、
次の指示を待った。
彼らの報告によると、
年中の部屋に一人だったHくんは、自分で必要な動きを取り、
次の指示を待ち、園庭に出るときには、
隣のクラスを気遣って、一緒に降りた。
また、隣のクラスの女の子3人も、
Mちゃんの声かけのもと、3人で一緒に避難した。
大人しい子たちだけど、芯の強さを発揮してくれた。
年長でも、すぐにロッカーに避難し、
身を寄せ合って、避難を続けた。
ただ、隣のクラスに居たのに、
わざわざ自分のクラスに戻って避難した子がいたようなので、
これは、指導が必要だろう。
先生たちにとって印象深かったのは、
子どもたちが、自分のしたことをよく覚えていて、
事細かに報告してくれたことだった。
ここには、高まった集中力が伺える。
いざとなったら、腹が据わって頑張れる子どもたちなのである。
この姿は、園庭での行動のすばやさからも伺えた。
同時に、この子は、先生がいないと危険が高くなる、
ということもわかった。
また、訓練を続けることで、問題を乗り越えた子もいた。
そんなわけで、生きのびる確率をさらに挙げていく訓練が、
ちゃんと積み重ねていける手応えを感じたわけだった。
子どもには、生きる力がある。
子どものすてき。