年長児の皆さん、ご卒園おめでとうございます。
あなたたちの学びは、若草幼稚園に確かな痕跡を残してくれ、
新たな歴史を刻んでくれました。
例えば、作品展での色作り。
あなたたちは、宇宙やハワイやドラゴン、海といった、
自分たちで決めたテーマから、
透明水彩で色を作り、それを工夫して並べてみました。
宇宙では、ダークな宇宙空間の中で銀河系を表現し、
地球のそばにはちゃんと月を置いていましたね。
ハワイでは、空から椰子の木、ハイビスカス、砂浜、海を表現しました。
空の青は、白が入っていて、海の青は、水の量で透明度を高くしていましたね。
ドラゴンでは、えらくきれいな色ばかりができてしまい、
「こんなのドラゴンじゃない!」と怒り狂っていたのが印象的でした。
そして、数多くの失敗作=濁った色から学び、
あえて濁った色を作り出しました。
おかげで、かっこいい色ができましたね。
海では、浅い海の色、深い海の色を、映像から学び、
そこにいる生き物も色で表現しました。
浅い海から深い海への並べ方には、苦労しましたね。
そうして、これまでのような、絵や造形ではない、
より実験に近い表現の形を開いてくれました。
それから心に残っているのは、
なんといっても、ドッジボールです。
まさか、ヘディングで「頭やき、セ~フ~」という子たちが、
育つとは思っていませんでした。
さらに、「顔やきセ~フ~。」とか。
普通、泣くのよ。
ルールを逆手に取るところまでは行かないのよ。
ボールの軌道も変えられるし、
当てるところも的確だし、
早さも調節できるし、
受けることも、よけることも上手だった。
何より、ゲームを滞らせない、
第3者の即時ジャッジメントがすごかった。
遊びってほんとすごいね。
楽しさのために工夫し合う力は本物と思います。
あなたたちは、私の子ども像を塗り替えてくれました。
思えば、2歳のときから、女子が強い学年でしたが、
女子は女子らしく、表に出ることをよしとしないキャラに育ち、
女子グループをそれぞれに形成し、
それなりにすったもんだして落ち着きましたね。
男子は、とても打たれ弱かったのに、
負けるくらいなら、勝負しませんくらいに、
情熱の火を消すタイプも多かったのに、
いつしか、向き合うこと、全力を出し合うことを学び、
予想以上にたくましく育ちました。
それもこれも、知性かな。
ゆっくりと、着実に、
自分たちの道を切り開いてきましたね。
今日の、みんなの発表はすばらしかった。
あんなふうに、自分が体験してきたことを、
自分の言葉に代えて伝えることができるなんて、
本当に嬉しかった。
ご卒園、おめでとう。
小学校でも、頑張ってね。
決して、決して、ゲームやテレビや動画を一番にしないでね。
約束して。
ご多幸を心から祈っています。
子どものすてき。