年中さんでお昼ご飯を食べたときのこと。
もう、年中の3学期ですけんど、動き回るH氏。
その横に張り付く。
隙あらば逃げだそうと、キラキラとした目をするH氏。
そうは行くか。
それで、半分くらい食べたところで、
明らかに集中力が切れて満腹感が出ている。
だが、まだご飯がこんもり残っている。
「これ、全部無理やろ。」
というと、どこからか、
H氏が入れてと言ったんだという情報が入る。
「なに!
自分で、入れてって言ったの?」
と私が驚いていうと、
H氏が笑顔でうなづく。
「はぁ?」
すると、担任が、
「Hくんが、いっぱい入れてって言ったので。」
という。
私は、言われたからってそのまま入れんなや、
という表情を浮かべ、そうも言い、
H氏に険しい顔で、
「これ、自分で入れてって言うたんか。」
と、もう一度尋ねる。
H氏がうなづく。
「あ~あ。
これ、食べれんのかなぁ。
半分か?
お米って、誰が作ってるんだっけ?」
隣の子が、「給食の先生。」と答える。
「うん、それもそうやけど、
(ここで、お百姓さんとか、農家の人、とか言っても分からん気がしたので、
それくらい、そんな方々が遠くなっている今、)
そういえば、年長さんが作ってたなぁ、お米。
一年くらい、かかってるわ。
お世話してなぁ。」
と、ご飯を半分に分けながらいうと、
H氏は、ストンと、「これは自分が食べるべきご飯」と、
思ったらしかった。
それで、黙々と、私の手を借りながら、
食べ始めた。
残り3口のときは、本当に満腹で、
もう入らんというような表情があったにも拘わらず、
彼はそれを全部食べた。
あぁ、すばらしい子や。
と思った。
自分のしたことに、後始末をつけようするこの姿は、
彼の凜々しい未来を想像させた。
「いうことをきかんといえばH氏、
しかしどうにも可愛いすぎるH氏」のなかにある、
誠実さと責任感というすばらしい資質を見つけ、
なんか、無性に嬉しくなった。
それにしても、
「どうやろうね。
私、ずっとあなたのそばに、いますけんど。
まみこ先生は、他の子どものところに行けんのか。
他の子のお世話もしたいけど。
なんで、ずっとここにおらないかんのやろうね。」
というと、
「ぼくが、どっか行くき。」
と言っていた。
わかってんじゃないか。
じゃあ、座って食べなさい。
子どものすてき。