ところが、しばらくしてまた行きたいと泣く。
私が怖いのか、怖くないのか、よくわからんかったと思うが、
ともかく、外に出たい一心で、
お散歩すると言って、また一緒に外に出た。
大きな道路に出る。
「どっちに行くの?」
と尋ねると、彼は、道を選べなかった。
行きかう車を見ながら、ずーっと立ち続ける。
そのうち、「ふわぁ。」とあくびをしたので、
「帰っろっか。」というと、
「うわぁ~~ん。」と泣いた。
「さぁ、おんぶするから、幼稚園で待ってようね。」
と言って、おんぶする。
今度は、ほんの少しの距離だったが、
彼は、背中で寝始めた。
お母さんに会いたい一心で、孤独な冒険の旅に出たのだから、
そりゃぁ、疲れたであろう。
その冒険の旅は、あきらめの旅でもある。
「幼稚園にいるしかない」ということを、
心と体で知る旅。
幼稚園に戻って、テラスに座り、
ずーっと外を眺めているうちに、
ぐっすりと寝てしまった。
それからは、T先生とずっと過ごした。
あきらめの中で、彼は楽しさを見出していった。
T先生は、ずっと彼のそばにいてくれて、
彼のおもいつきや、彼のつくりだす動きを、
受け止めてくれた。
次の日には、幼稚園でおもしろいこと、
たくさん見つけたね。
友だちにも、先生にもたくさん出会いました。
頑張ってね、Tくん。
子どものすてき。