あやめ組にお昼を食べに行くと、
さっそく女の子たちが、
「Lちゃんが泣きゆう。」
と知らせてくれ、事の次第を事細かに教えてくれた。
ふと、後ろを見ると、ロッカーの隅でLちゃんが泣いている。
それで隣に座ったら、また別の子が、事細かに説明してくれた。
結局、椅子取りゲームで、
最後の一つをAくんと争い、
Aくんに突き飛ばされて、負けたのだった。
「ようするに、負けたんやろ。」というと、
話してくれてた女の子二人は、うなづいた。
「それは、仕方ないわ。」とLちゃんの肩を抱き、
「こんな、悔しい思いとか、泣いたりとか、
そんなんで、Lちゃんは、美人になるのよ。」
と話をしたりして、それで、適当なところで、
私は席についた。
ちょっと、私では無理そうであったし、
ここは、担任の先生に任せようと思った。
そして、すさまじく長い時間、
彼女は微動だにしなかった。
2歳の頃の、Lちゃんの一度泣いたときのシワサとか、
半年に一度ほど、ものすごく機嫌が悪くなると、
「すいません。」と謝るしかないような、
険悪ここに極まれりな雰囲気を思い出した。
日頃は、本当に朗らかで、お花のようなLちゃんだが、
頑とした時の隙のなさは、ものすごいものがある。
だが、担任の先生は、粘り強く彼女に寄り添い、
やっとLちゃんは、先生と一緒に食べ始めた。
私は、別の気になる子と一緒に遊んでいて、
それから、職員室に用事に行って帰ってくると、
Lちゃんが、私のところにやってきて、
「お弁当食べて、もう、終わった。」
と言った。
私は。
「うん。
あら、はやいじゃん。
がんばったね。」
と肩に手を置いた。
いつもは、だいたい、げびっちょのLちゃんである。
Rちゃんにしろ、Lちゃんにしろ、
なんか、自分を省みるコモンセンスがあって、
本当にすてきだと思う。
子どものすてき。