そして、今度は荷物をするしないで、
私とすったもんだをし始めた。
それで、私は譲歩することにし、
鍵を渡したら、荷物をするか、というと、
「する」と答えたので、
多少、これでよかったかどうか微妙にも思いながら、
鍵を渡した。
そして彼はしぶしぶ、荷物を持って二階に上がる。
ところが、自分のクラスを素通りして、
自分のロッカーは、隣の資料室にあるという。
どうも、ごちゃごちゃしたところには、
入りたくないのであろう、と推測された。
彼は、色々とごまかして荷物をやろうとしない。
また、すったもんだして、
約束が違う、といって鍵を取り上げた。
彼は、そのまま下に降りていき、
また、職員室に入った。
そこで私は、職員室のベンチに座って、
彼が思いついた言葉に応えていく。
それで、給食は、職員室で食べる、と言い始めた。
あぁ、やっぱりごちゃごちゃしたところは、
今日は、嫌なんだなと思う。
そこへ、担任の先生がやってきて、
お誕生日のワッペンをつけてくれた。
それで、担任の先生に「今日は、職員室で食べます。」といい、
そうすることになった。
それから、担任の先生とお話をし、
担任の先生が「じゃあ、Rくん、先生お部屋に帰るね。」
というと、「ダメーッ」と言った。
その声には、逼迫したものがあった。
ふふ。
A先生がいいんだな。
そりゃ、そうであろう。
私とは、さっきからすったもんだ続きである。
私が、「いかんいかん。」という。
A先生が、優しく、また「お部屋に帰るね」という。
「だめーっ」真剣に阻止しようとする。
「いかんいかん。
ほんなら、Rくんがあやめに行きなさい。」
と、私が強い口調で言うと、
彼は、A先生について行った。
そして、給食もお部屋で食べた。
はははは。
静かな環境で、バトル相手のまみこと食べることよりも、
柔らかく、優しい担任の先生のそばを選んだわけである。
なんか、すごく嬉しくなったね。
なにやら、今日の彼は、お弁当用のシートを持ってきていて、
そのシートを引いて食べたかったらしく、そこで先生と食べた。
それから彼は、お片付けもちゃんとして、
鍵を取りに来た。
ちなみに、この鍵は、彼のためだけに買った南京錠である。
彼は、これをとても気に入っている。
けれども、ちゃんと節度を持って、使っている。
お片付けの前に返しなさい、というと、
ちゃんと自分から返しにくる。
今日、約束をやぶったから取られた鍵を、
泣きそうにはなったが、ヤケをいうこともなく、
ちゃんと給食のお片付けを自分でしてから取りに来た。
いい子だね、Rくん。
ちゃんとしてるね。
子どものすてき。