Yくんは、たぶん、幼稚園に泊まるなんぞ、
絶対に嫌なはずであった。
だが、彼は、お姉ちゃんもお兄ちゃんも乗り越えたお泊まり保育を、
きっと、すごく楽しいと聞かされていたであろうお泊まり保育を、
乗り越えるために、やってきたに違いなかった。
だからであろうか。
彼は、なかなか寝付けなかった。
先生がそばに行くと、むしろ緊張するらしかった。
その顔は、まるで能面のようであり、
微動だにしない。
「頑張ってるね。
えらいね。」
と声をかけ、そばに居てみる。
ただ、ぼーっとしていると、
ちょっとYくんが泣いた。
「うっ」と嗚咽をもらし、涙をぐしぐしと拭く様子が伝わってきた。
だが、まぁ、私は気づかないふりをして、
ずっと隣に座っていた。
そしたら寝た。
子どものすてき。