現在Mくんは、「ゆるさん」という世界で生きている。
お友だちがあやまると、
「ゆるさん」
と迷いなく言う。
許さんという権利はだれにでもある。
だから、良いわけだが、良いわけではない。
そこで、「怒りを解消する」ということが、
彼のテーマになる。
何かに集中して、気持ちを落ち着かせるというのは、
いい手である。
そこで、一緒に何かに集中して遊んで、
その怒りの解消を目指した。
「怒ってたけど、いい時間はあったでしょ。
その間は、忘れてたでしょ。」
戦法をもくろむ。
それで、遊びが一段落したところで、
「ねぇ、今、Yくんのこと忘れちょったろ?」
と尋ねる。
速攻で、首をふるMくん。
「はい?
うそ、今、考えてた?
Yくんのこと。
ずっと、許さんて?」
「うん。」
と大きくうなづく。
そうすか・・・。
いや、忘れてたはずなんですけどね。
Mくんの「許さん」という牙城は、なかなか崩れそうにない。
そこにいた、まわりの子たちに、Mくんの事情を話し、
「みんなやったらどうする?
いいよって言うて、忘れるろ。」
と言うと、
「うんうん。」
とまわりは、うなづく。
「やってよ。
そんなに、ずっと怒ってたら疲れるやん。」
と言ってみた。
だが、Mくんの心持ちは、鉄壁であった・・・。
保育の試行錯誤は続く。
子どものすてき。