園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2020.09.20

心を大きく ・・・年少児

 

ちょっと、間違えただけだった。

だが、それが自分で許せず、顔を隠して泣くSくん。

 

「どうしたの?

何があったの?」

と尋ねると、さらに泣いて、

「あっち行って~。」と、ガンガン蹴ってくる。

 

む。

 

そこには、独特のイケメン自己中があったので、

足で蹴るのは許さん、

と話をすることにした。

 

一人、藤棚でワンワンと、いや、ギャーギャーと泣く。

 

「泣くの終わったら、声かけてね。」

というと、

「園長先生が、泣けって言ったから、泣いてるんだ。」

というので、

「はぁ?

泣けなんて、一言も言ってませんけど。

どうぞ、終わったら言ってください。」

 

というわけで、泣き続ける。

 

「まだですか。」

と聞くと、

「ここんとこ、毎日、嫌なことばっかり続いてる。」

とヒックヒック言いながら泣く。

 

「なに!?

ずっと続いてるの?

嫌なことが?」

 

これが、年少児のいう言葉かと驚きながら聞き返す。

「何があったの?」

と尋ねると、

 

「お父さんが、ちゃんと石鹸で洗わんが。

僕は、ちゃんと泡を立てて、こうやってこすって、

洗ってるのに、お父さんはやらんが、

わーん。」

と泣く。

さすが、イケメンの言うことである。

そして、僕だけが、ちゃんとやっている、

お父さんは間違っている、なのに、全然わかってくれない、

と悲しそうに、そして怒ったようにいう。

そこには、お父さんに対する心配があるようだった。

だって、今、大変なときだもんね。

 

それにしても、話しぶりのかしこさに感動して、

ちょっと難しい話をすることにした。

 

1から10まで、きちんとちゃんとできる人がいる。

だけど、1から6までで、まぁいいやって思う人もいる。

できない人もいる。

お父さんは、お仕事は1から10までちゃんとやるけど、

せっけんで洗うのは、5でいいやって、思ってるのかもしれないね。

そうやって、まぁいいかっていうのがあると、

人のこともまぁ、いいやって許せるし、自分も楽だよね。

Sくんは、さっき間違った自分が許せないし、

そんなの恥ずかしくて耐えられないって思うから、

あれだけ、泣くんでしょう。

でも、間違えない人は誰もいないし、子どもは、いろんな間違いをして、

大きくて、強くなる。

「あぁ、そうか、次はこうすればいいや。」って思えばいい、

そうやって、心は大きくなるし、強くなる。

 

というわけで、せっかく子どもなんだから、

やりたいこと、なんでもやってみればいいよ、

それで、大人に怒られたら、あぁ、これはだめなんだなって、

思えばいい。

子どもは、なんだってやっていいんだよ、

 

という話をした。

彼は、目をきらきらさせて、

「心が、大きくなったら、身体もこーんなに大きくなるの?

こんなちっちゃな心が、これくらい、これくらい、こんぐらいになって、

こ~んなに心が大きくなったら、身体もどんどん大きくなる?」

 

と手で心をつくりながら、言った。

 

子どもって、いいですよね。

 

「うん。そう。

心が大きくて広くなったら、いろんなものが入ってくる。

それは、楽しい。

心が小さくて、狭かったら、もうこないで、やめて、

間違うの嫌だからやめとくってことになっちゃう。

心が大きかったら、気持ちいいし、楽。

それに、身体は飛行機に乗らないとどこか遠くに行けないけど、

心は、どこにだって行ける。」

 

というと、また、目を輝かせて、

「ほんと?

どこにでも行ける?

雲に乗って?」

 

「うん、そう。」

 

子どもって、ほんまにいいですよね。

というわけで、そこから私たちは、かみなりの話をして、

無事、すこぶる和解の雰囲気で別れたのであった。

 

子どものすてき。