Hくんとまたお散歩に出かける。
彼の心は、この時、散れぢれにまとまりがなく、
ふわふわと寄る辺なかった。
「僕はどこまでも歩ける」という気概を持って、
我々は歩き始める。
しばらくすると、街路樹に雀がビヨビヨとたかっていた。
さえずり声もけたたましく感じる。
これは、おもしろそうだ、是非見に行こうと、
我々の心は、無言のうちに一致する。
と、目の前の信号がチカチカしている。
「お、これはいかん。
渡ろう!」
と私が小走りの構えをとって渡ろうとするも、
彼は、きちんと渡らずに止まっていた。
おっと。
と急いで逆戻りする園長ドウモトマミコ。
子どもの方が、ちゃんとしていた。
それから、無事一緒に渡り、
木の上の鳥の動きを見る。
すると、「寒い」と言い出した。
いいよ、と私のパーカーを貸す。
「まみこの、あったかい。」
という。
私は、「かわいいなぁ。」と思いながら、
袖をまくってやる。
しばらくして、「もう、歩けん。無理。」
と立ち止まる。
思えば、今日は、森の日だったので疲れたろう。
おんぶして歩く。
小学校の門の前で、おばさんが自転車にのって止まっている。
「こわい。
宇宙人かもしれん。」
と私の首をぎゅっとする。
「まみこせんせいは、こわくない。」
と言って歩き続ける。
「おしっこ。」
次はそうきたか。
そんなわけで、我々は、薄暗い夕方のお散歩を楽しんだのであった。
われわれのすてき。