園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2021.03.30

こんなに。 ・・・卒園児

 

卒園式という大きな舞台が、

大きなハードルとなった男の子の話である。

 

彼は、練習の時、必ずと言っていいほど、

どこかに行ってしまった。

それで、一度彼を抱きとめてお話したとき、

彼の心臓の鼓動が、飛び出んばかりにドキドキしているのを、

私の手の平が感じた。

 

こんなに。

 

時には笑いながら逃げていく彼の本当の心が、

ここにあるとわかったとき、

私は泣きそうになった。

 

そして、ある時、彼は入口で拒みながら、

「つらい。」

と言った。

 

あぁ、本当に、そうなんだろうな。

と思った。

 

彼は、証書はもらう必要があると考えていたようであり、

その時に夢を語ることも、流れでやるべきなんだろうな、

と思っており、その一連の事柄を覚えるのは、

驚くほど早かった。

 

しかし、思い出を語るところは、

どうにも、ハードルが高く感じているようだった。

 

しかし、一度はやってみる必要がある。

周りの子は、彼に合わせ、彼を待ち、万全の準備を整えた。

そして、一度だけ、彼はセリフを「うんこ」に代えて、

言うことができた。

 

そして、本番。

彼は、なかなかその場にいることができなかった。

思い出を語るために、彼のグループが並ぶ。

まさに、壇上に上がらんとするとき、

彼は、戻ってきた。

そして、多少邪魔もしたが、

流れを守って、すっと自分の発表をしたのだった。

 

私は、こんなところに、彼の強さと誠実さを見る。

 

たった6年間生きてきたなかにも、

山あり谷あり、

その存在にかかる究極の場面があり、

究極の選択を迫られるときがある。

そんなとき、我々も、彼も、ただ未来へと投げ出される。

事は、どう動くか、その時にならないと分からない。

 

そして彼は、ちゃんと自分の力で通過してくれた。

 

ご卒園おめでとう。

 

 

子どものすてき。