園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2021.04.10

冒険  ・・・年中児

 

4月。

新学期スタート。

 

Yちゃんが、幼稚園に入りたての弟を連れて、門を出て行った。

その瞬間を見つけたT先生が、

ふんぎゃぁ!と言って、引き留めた。

そして、周りも騒然となり、慌てて園長に報告に来る。

 

そして、Yちゃんは、こんこんといろんな先生に、

それが、どれだけ危ないことが諭され、

シクシクと泣く。

 

だが、私の心は、どこか温かかった。

もちろん、大事である。

対策を考えなければならない。

 

だが、毎年、4月になると恒例で思うことだが、

「門」というのは、中と外を区切るものである。

子どもは、ここから出る自由を持たない。

 

Yちゃんは、物静かな子である。

そして、頑固である。

そして、自分のしていることに、

すばらしい集中力を発揮する子である。

お母さんは、いろんな経験をYちゃんにプレゼントしている。

年少のYちゃんがほぼ一人で作ったスポンジケーキは、

すばらしい出来であった。

 

しっかりもののYちゃんは、

この日、弟を連れて、冒険したのだった。

ちなみに、おやつのとき、

弟を連れて、お家に帰るの、と言っていたらしく、

本当に実行したんですね、と聞いた先生が笑みを浮かべた。

そこ、気をつけるポイントだったか、というふうに。

 

私は、3歳の頃から、一人でおつかいに行かされていた。

そのお店に向かう道順は、3つほどあって、

毎回、どの道で行こうかと、わくわくした。

それで、無駄にへんてこりんな道を選らんで、

行ってみたりしていた。

 

Yちゃんにとっては、

きっと、すごく自然なことだったのではなかろうか。

 

私は、お姉ちゃん。

私が、弟を連れて、お家に帰るんだ。

 

まるで、絵本のような出来事である。

 

次の日、お母さんがお詫びに来てくれたが、

もちろん、謝罪すべきはこちらであり、

深くお詫びした。

 

実は、家でも抜けだし事件があったらしいが、

そんなときは、是非、後ろを付いて行ってみて欲しい、

なんて、言ってみた。

 

今の時代、子どもの自然な冒険心を満たすことが、

なかなかできない。

外は、危険に溢れている。

不審者、車・・・。

それらを前にして、子どもはあまりに無力である。

そして、我々には、子どもの安全を守る責務がある。

 

だが、子どもには、こんなすばらしい冒険心があるのだ。

Yちゃんは、それを教えてくれた。

 

ごめんね、Yちゃん。

私たち保育者は、あなたの冒険心を満たしてあげられない。

けれど、なんか、考えるね。

 

子どものすてき。