さめざめと朝泣くIくん。
新しい世界へのとまどい。
わかるよ!Iくん、頑張って!
と思っていたが、実は相当のワリコトシであることがわかる。
泥への向かい方も、
新しいものへの向かい方も、
力強さがある。
ある日、靴下のままで、
去っていくお母さんを追いかけて泣くのを発見。
「あれ?靴は?
はい、君はもう泣かんでよろしい。」
と抱っこする。
意外に抵抗もせず、ガシッと捕まってくる。
しかし、「おれは泣くぜ!」とばかりに、
ワンワンと泣く。
「あぁ~、なるほど~。
あかちゃんってことかぁ。
ほんなら、ミルクやな。
もう、ミルク飲まないかん。」
「いやだ~。」
「いやだって、言っても~。
あかちゃんなんやから、
ミルクやろう。」
「ちがう~。
おかあさんのおっぱい飲む~。
おかあさんのおっぱい飲みたい~。」
あ、そっち?
そっちの「嫌だ」やった。
「Iくん。
それはね。
夜、みんながおらんところで、飲まないかん。」
「嫌だ~。
見えるところで飲みたい~。」
うーむ。
話が通じてるのか、通じてないのか。
彼も、同じように、
かわいそうがってくれない私では、
埒が明かないと思ったらしく、
担任の先生に手を広げていた。
それで、
「Y先生~、
Iくんは、もう、あかちゃんになるそうです~。」
というと、
「嫌だ~。
赤ちゃん、いやだ~。」
と、ちゃんと言っていた。
しかし、しばらく、「おれはかわいそうだぜ」と泣いていた。
ごめん、Yせんせい。
その後、一緒にお昼を食べたが、
終始ご機嫌で、私にパンチをしてきたので、
かわいそうがってくれないことは、
新鮮であったらしい。
これから先、そうやって「おもしろい」が勝っていくだろう。
それが似合う子どもである。
子どものすてき。