園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2021.07.30

H物語② 失われない頼もしさ

 

そんなこんなで、年中の後半から私と彼の付き合いは、

めっきり減っていった。

園長というものは、問題場面に登場するからである。

 

私もお母さんも、なんか、最近「園長出番なし」みたいな、

いやいや、あれって、もう思い出?

みたいな空気が漂っていた頃、

いやいや中身変わってないですと、

むしろ嬉しくなってしまうことがあった。

 

お泊まり保育の終わり、「頑張ったね」と、

一人一人に賞状を渡す場面のことである。

もらうときって、片手でもらうものかしら、

やっぱり両手ですよね、と投げかけるなか、

堂々と、わざと、片手で受け取るH氏。

 

 

それから、別の子が、賞状をもらう、もらわんで、

すったもんだがあった時のことである。

何でも、自分は悪い子だから賞状をもらうに値しない、

みたいな精神を発揮してくるので、

 

子どもは悪いことをして、

大人がそれは悪いことよと教えて、

お兄ちゃん、お姉ちゃんになるんやから、

子どもは悪いことをするものよ、

 

というような話をしたら、

 

さっそく、食事中に、寝そべるH氏。

 

「いやいや、あんたがそれをせんでよろしい。

子どもは、悪いことをするもんや、って言ったからって、

さっそく何よ。」

 

だが、彼は非常に楽しそうであり、

何やら、幸せそうである。

 

「ちょいと、やめなさい。

職員室に行くか。」

 

というと、飛び起きもしたが、

彼のいたずらモードはおさまらず、

他の先生になんか言われて、さーっとやめた。

 

別の日、プールから出てきてお着替えの場面。

最後に残った彼をふと見ると、

Tシャツをズボンにして、履いていた。

「ざまぁみろ。」というふうに、笑っている。

この後におよんで、何をしてるか!

さっさと着替えなさい!

を超えて、

 

「防災のときにえいやん!」

 

と思わず、写真を撮ってしまったが、

どうやって、あの幅広い裾をとめてんやろう、

とめくってみると、

実にきれいにパンツに入れてあった。

だから、一見それは、よくある民族衣装に見えた。

 

そんなわけで、彼の反骨精神は、

いささかも色あせず、息づいているようである。

 

人と幸せに生きることが分かると同時に、

権威や権力には立ち向かう反骨精神も兼ね備える彼の将来が、

とても楽しみである。

 

子どものすてき。