そんなこんなで、年中の後半から私と彼の付き合いは、
めっきり減っていった。
園長というものは、問題場面に登場するからである。
私もお母さんも、なんか、最近「園長出番なし」みたいな、
いやいや、あれって、もう思い出?
みたいな空気が漂っていた頃、
いやいや中身変わってないですと、
むしろ嬉しくなってしまうことがあった。
お泊まり保育の終わり、「頑張ったね」と、
一人一人に賞状を渡す場面のことである。
もらうときって、片手でもらうものかしら、
やっぱり両手ですよね、と投げかけるなか、
堂々と、わざと、片手で受け取るH氏。
!
それから、別の子が、賞状をもらう、もらわんで、
すったもんだがあった時のことである。
何でも、自分は悪い子だから賞状をもらうに値しない、
みたいな精神を発揮してくるので、
子どもは悪いことをして、
大人がそれは悪いことよと教えて、
お兄ちゃん、お姉ちゃんになるんやから、
子どもは悪いことをするものよ、
というような話をしたら、
さっそく、食事中に、寝そべるH氏。
「いやいや、あんたがそれをせんでよろしい。
子どもは、悪いことをするもんや、って言ったからって、
さっそく何よ。」
だが、彼は非常に楽しそうであり、
何やら、幸せそうである。
「ちょいと、やめなさい。
職員室に行くか。」
というと、飛び起きもしたが、
彼のいたずらモードはおさまらず、
他の先生になんか言われて、さーっとやめた。
別の日、プールから出てきてお着替えの場面。
最後に残った彼をふと見ると、
Tシャツをズボンにして、履いていた。
「ざまぁみろ。」というふうに、笑っている。
この後におよんで、何をしてるか!
さっさと着替えなさい!
を超えて、
「防災のときにえいやん!」
と思わず、写真を撮ってしまったが、
どうやって、あの幅広い裾をとめてんやろう、
とめくってみると、
実にきれいにパンツに入れてあった。
だから、一見それは、よくある民族衣装に見えた。
そんなわけで、彼の反骨精神は、
いささかも色あせず、息づいているようである。
人と幸せに生きることが分かると同時に、
権威や権力には立ち向かう反骨精神も兼ね備える彼の将来が、
とても楽しみである。
子どものすてき。