代わりに、6人ピラミッドの一番下の真ん中になったのはMくんだった。
彼は、かなりフニャフニャな人なのだが、
実は、すばらしい集中力、持続力の持ち主であることを、
トウモロコシの描画を通して知ったので、そこに期待をかけた。
Mくんに「君しかいない!」と、
ものすごいハッパをかけて頑張ってもらったが、
Tくんは、まだ、なかなかに辛そうだった。
むしろ、Sくんの方が、小柄だが、がっしりしている。
そこで、次の練習では、Sくんに下を頑張ってもらうことにした。
その練習の日、Tくんが「やらない」という。
「はぁ?3日前やぞ。
何を言うか、ぜったいやらないかん!」
と連れて行く。
だが、彼は、「嫌だ」と頑なに抵抗する。
「嫌じゃない!
一番下でもできるのか、2番目にいくのか、
ぜったいに、決めてもらうで。
今日しかない!」
「いや!やらん!」
「やらんじゃない!
ほんなら、お母さんと、お父さんに、組み立てやりませんと言いなさい!」
「・・・・。」
だまったな。
それで、もう一度同じやりとりを繰り返す。
どちらも、真剣勝負である。
「もうえいわ!」
と私が言ったと同時に、
「一回だけ。」
と言った。
よし。
とやってみる。
待ってるみんな、本当にありがとう。
すると、彼は今までよりも、
しっかりと、形を作っていた。
これまでは、友だちが乗っただけでつぶれます、
という感じだったのに、
なんか、神経を通して、すくっと姿勢を保っていた。
それで、成功した。
Sくんも、ばっちり安定感がある。
Sくんに、感謝の意を伝え、Tくんに、確認する。
「どうする。
1番下かね、それとも2番目?
2番目やな。2番目やったらできるな。」
というと、
「うん。」とうなづき、逃げる。
その姿を見ながら、目が合い、「よし。」とハッパをかけた。
次の練習の時、
フニャフニャのMくんが、フニャフニャを発揮して、崩れた。
そして、もう一人Nちゃんも崩れた。
そんななか、Tくんは、割かしすくっと姿勢を保っていた。
おそらく、気持ちが前向きになったので
友だちの体重を迎えうって耐えるという心構えで、
身体が使えるようになったのだろう。