年長さんとドッジボールをしていると、
Sちゃんがやってきた。
YちゃんとRちゃんが仲間に入れてくれないという。
「近づいても、二人で話ばっかりして、
Rちゃんは、一度も私を見てくれない」
!
「Sちゃん、そんなこと気づくの?!
すごいなぁ。(さすが女子)
そんなん、まみこ先生、なんて言えばいいわけ。
Sちゃん、なんて言ってほしいの?」
「ん~。わからん。」
「やろ!わからんわ。それ。」
「でも、前にYちゃんにぜったいSと離れないでって約束したのに、
まぁ、Sも守ってないけど、ふふ。」
と、急に低音になるS女子。
女子力満載やな。
で、結局Sちゃんは、私に何かとりなしてほしい、
と言うことだけはわかるので、
大型遊具の3階にいる二人のもとへ一緒に向かう。
二人といろいろ話をしている中で、Yちゃんが、
「なんで、ここに来たの?」と言ってくる。
「うん?まみこ先生って、いつも男子の相手ばかりしてるじゃん。
いろいろ事件起こすから。
でも、女子ってさぁ、何にもなくても、永遠とお話だけで遊べるじゃん。」
「うんうん。お話して遊んでる。」
「だから、その仲間に入ってみたくなった。なんのお話してた?」
「あのね、秘密基地の話。」
「うん。秘密基地。Rちゃんのお友達のHちゃんが死んで、
そのお部屋が空いてるから、そこを秘密基地にしようって、
話してるの。」
(こわすぎるな、女子よ。嘘なんか、ほんまなんか、図りかねる。)
「うん。そこには、おもちゃもいっぱいあるし、ソファもあるの。」
「ほほう。」
そこで、Sちゃんが「仲間に入れて」という。
一瞬口ごもったYちゃんは、それでも「いいよ。」と言った。
それからしばらくして、
Sちゃんは、Rちゃんに「仲間に入れて」と言った。
「いいよ。」という。
だが、Sちゃんは、仲間に入っている気持ちになれない様子。
それから、私はYちゃんとRちゃんと話を続けたが、
それは、ファッションのことであったり、
できるお勉強のことであったり、習い事のことであったりした。
女子よのう。
そのなかでRちゃんが、
「あのね~、おじいちゃんのケーキはおでん。」
と言っていて、笑えた。
ところがSちゃんは、まったくそういった話に参加せず、
私の胸を触りにきたり、ボタンを外しにきたり、
てんでわけのわからん行動を取っていた。
これはなぜなのか。
浮かんだ仮説は、自分に注目をしてほしいのか、
もしくは、井戸端会議が苦手か。
3人の人間関係における覇権争いや微妙な葛藤については、
前からちらちら聞いている。
Sちゃんに、他にも友だち作ってみたら、Kちゃんとかさ。
と提案すると、「あり」と思いながらも、嫌だと言った。
(そして、次の日はKちゃんと遊んでいた。)
Sちゃんの腹に一物的には、なんかあるのであろう。
それからSちゃんは、物作りにかけて、
園で1,2を争う技能とセンスを持っており、
大人の世界でも出店できますよという精緻さにつき、
耳だけ口だけの世界は、物足りないのかもしれない。
いずれにしろ、今のYちゃんとRちゃんの空気感に、
Sちゃんのモードは合っていないことは明白だった。
まぁ、そろそろ退散しようかな、と思い3階から園庭の様子を眺める。
すると、Sちゃんが、お尻をつっついてきた。
「誰だー!」と振り返ると、嬉しそうによける。
すると、YちゃんとRちゃんもつっついてきた。
それで、「つっつく誰だこちょばすごっこ」が始まった。
もう、めちゃめちゃ楽しそうで、Rちゃんの腹はよじれていた。
結局、ここよね。
だって、まだ6歳だもんね。
そのあと、私に用事ができ、
「ちょっと、時間がかかるから、3人で遊んでて。」
といった瞬間に、Sちゃんが「やった!」と言った。
なに、その、私が「3人で」といったことが、
仲間に入ったことの確約になったわけなの?
うーん。
意味が分からん。
Sちゃんにとって、
「仲間に入っている」ってどんなことなんだろう?
要経過観察。
女子の世界のすてき。