この日は、コマ大会だった。
今、劇の取り組みが盛り上がっている時期なのだが、
あやめ組は、「三枚のお札」をやる。
この劇では、お札で、ダンスしたり、音楽を奏でたり、
こまのスゴ技を見せて、鬼を虜にするという話になっている。
そこで、コマ部が(担任が、「部」と呼ぶので笑える。)いろんな技を見せるのだが、
なんと、手乗せがほぼできるようになり、
若草幼稚園に新たな光を差し込もうとしているL氏が、
「普通の技やります。」
・・・。
何を?
普通の技て、なんなんすか。
というわけで、劇の練習が終わった後、彼を呼ぶ。
何、それ。普通の技って、何よ。
失敗しても成功しても、
自分ができることに挑戦することが大事なんや、
ちゃんと言ったらいい、
失敗するかもしれないけど、頑張りますって、
ほんま、かっこわるいわ。
なんや、それ。
と、痛烈に、ふざけるなよ、と言わんばかりに、
彼を説得する。
まぁ、してない。説得。雰囲気的には、ほぼ、強制。
「ほんなら、傘回しする。」と言い出したが、
まぁ、それもえいけど、
手乗せができる子は、若草幼稚園、史上初何やから、
頑張りや。あんたしか、できんことなんやから。
と、とりあえず手乗せを押す。
そんな流れの次の日のことである。
彼は、前日に非常にお母さんに怒られていた。
それは、大変ごもっともな話であった。
彼は、怒られた時、泣いてしまって、
もう、泣かんって心に決めたのに、
朝起きたら、涙が出てしまった、と言った。
「あら。涙って、いいんで。
泣いたら弱いと思ってるの?」
「うん。」
「それは、違うわ。泣くってね、心のバランスを取ること。
いっぱいいっぱいになった心を、涙で流すの。
理事長先生も、よく泣くで。(コマーシャル見たときとか・・・)」
「えっ!!ほんと!?」
「うん。ほんと。
まみこ先生もよく泣くで。
人のおるところでは、泣かんけどな。」
それで、また、
君は、自分のできることに向かって頑張ることが大事なんや、
という話をした。