その勝負で、彼はもう、私に視線を向けなかった。
勝ちに向かって、まっしぐらに進んで行った。
きらきらと、わくわくと、
ただ、輝かしい未来に向かって、
自分を投げ出していった。
あぁ。こんな強さが彼にはある。
そして、彼は見事、優勝した。
例年であれば、その相手が優勝するタイプであったが、
彼のはちきれるようなエネルギーが、
まっすぐに、その場を満たしていった。
その後、彼は、抑えきれずにテラスをダッシュしまくっていた。
子どもって、こんな時、人間に見えんよね。
そして、何度も、「泣きそう。」と言った。
そして、3回ほど、ほんまに涙ぐんでいた。
自分を無にして、前に投げ出す勇気とそれがもたらす喜び。
私は、君のその顔が見たかったんやなぁ、
とつくづく思った。
次は手乗せで。
失敗しようが、成功しようが、
挑戦する世界へ、心を最大に動かす世界へ、
今日みたいに、羽ばたこうね。
子どものすてき。