泣いている子の気分転換に、並べて楽しむだけのオセロを持ってくる。
すると、思いのほか、他の子どもにもヒットする。
ただ、「しろ。」「くろ。」といって適当に置くだけ。
いつしか、片づけるケースを持っている子が、置く権利をもつ。
という流れになった。
先に置き終わったKくんが、Hちゃんが持っている分に手を出すと、
「だめ。」と怒って、渡さない。
「Hちゃんが、やるって。」
と言って、待ちの態勢を作る意味で、
「そういえばさぁ、お家にもあるんだって?オセロ。」
とよもやま話を始める。
その間、黙って置いていくHちゃん。
それから、また回収して、ただ置くを楽しむ。
最初にリズムよく置いていくKくん。
それを微調整するTくん。
そばで見ている年長のNちゃん。
Kくんが置き終わると、Hちゃんが、ゆっくり置き始める。
Kくんがやりたくなって手を出すと、
Hちゃんが、「やめて!」と怒って奪い返す。
そのうち、だんだん盤が埋まってくる。
空いているところを数えるKくん。
だんだん、数え方が適当になって、
どこを数えているのかもわからなくなり、
みんなの間で笑いが起こる。
そして、Hちゃんは、オセロの駒を置いていく。
みんなが、「しろ。」とか「くろ。」とか言う。
ひょんに、HちゃんがKくんに駒を渡す。
Kくんが「くれた。ねぇ、ぼくにくれた。」と嬉しそうに言う。
「よかったねー。」と答える。
それで、Kくんが置く。
Hちゃんも、置く。
そして、Hちゃんが、またKくんに渡す。
「また、くれたぁ。」と喜ぶKくん。
「よかったねー。」と応える。
すると、Hちゃんは、次々に、リズムよくKくんに渡し始める。
「おっ。」と受け取るKくん。
そしてとうとう、渡す人、置く人という役割分担の流れになり、
二人は協力して、駒を置く人になったのだった。
それは、笑いに満ちて、とても楽しそうだった。
思えば、Kくんが残りのスペースを数えて笑いが出たときが、
Hちゃんが渡すきっかけになったのかも、と思うし、
他の人がおしゃべりしている間、ただ、置いていくのもひまだな、
という思いが、ほんのりどこかにあったかもしれない、
と思う。
そういうわけで、至極自然な流れの中で、
分け合うとか、力を合わせるが生まれた、
ある雨の日の出来事である。
3歳児のすてき。