園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2022.06.10

神様のプレゼント

 

Aくんは、虫が大好きである。

ある日、カミキリムシを誰が世話するのか争いなった。

すったもんだした挙句、ジャンケンで決めることになり、

Aくんは負けた。

そこは、仕方がないので引いたが、

どうしてもカミキリムシへの思いが収まらず、

お母さんに、ある場所に今から連れて行けと主張し始めた。

夕方、18:30。

これから、お母さんたちがどれだけ忙しい時間か。

彼の自己主張は、この時期とてもデコボコしていて、

なかなかの我がままぶりである。

しかしこちらも、「そのデコボコは許さん」

という気構えの時期だったので、

「この忙しい時間に、行けるわけないやろ。」

で一刀両断であった。

 

だがしかし。

彼の虫への思いは、すばらしきものであり、

それは大切にされるべきものである。

実際、手を噛まれても虫を愛せるのは、彼ぐらいである。

 

そこで、

「Aくん。残念やったけど、

実は、このレモンの木によくカミキリムシが来るのよ。

もし、まみこ先生が見つけたら、一番に君に知らせるね。

Aくんも、気にして見てみて。

まみこ先生が見つけたら、一番にAくんに知らせる。

ま、いつ来るかわからんけどな!

 

そして、土日をはさんで、月曜日になった。

 

年中のSちゃんと朝のあいさつがてらじゃれて遊んでいると、

「あ~!あれ何?なんかおる!」

とSちゃんが背後を指さして叫んだ。

 

振り向くと、なんと、カミキリ。

ホール前の壁をノソノソと歩いている。

 

うっそ~、と思いながら急いで捕まえて、虫かごに入れる。

そして入ったとたん、Aくんが登園してきた。

 

うっそ~。

 

それで、急いでAくんのところに行く。

それにしても、Aくんの機嫌の悪そうな顔と言ったら、

ここ極まれり。

だが、私が興奮してカミキリムシを見せると、

その顔がぱっと明るくなった。

 

そして、

「ゴマダラカミキリムシや。」と博士のように言った。

プライドがにじむなぁ。

 

そして、しばらくして・・・。

Aくんが、担任の先生と一緒にやってきた。

 

「Aくんが、園長先生にお話があるそうです。」

 

だが、Aくんは、後ろを向いてうつむいている。

「ん~?何やろう。

Aくんなぁに?」

 

だが、Aくんは、うつむくばかり。

 

「ん~?なになに。お家に持って帰りたいの?」

と聞くと、担任の先生が、

「いや~、違うんです。お礼が言いたいって。

まみこ先生にありがとうって言いたいんだよね。」

 

Aくん、ありがとう。

これは、神様のプレゼント。

まさか、こんなにすぐにカミキリムシが現れるなんて。

そして、こんなにタイミングよく君が登園してくるなんて。

 

こんなことって、あるんやなぁ。

 

神様のすてき。