Aくんは、人前に出るのが苦手である。
そういうわけで、お泊り保育の表彰状をもらうことを良しとしなかった。
1か月後は、運動会である。
すばしこい彼には、是非とも、力いっぱいリレーを走り切ってほしい。
そして、彼も心底それを望んでいるはずである。
そこは、信じている。
なぜなら、去年の生活発表会が、とーってもステキだったからである。
恥ずかしいを超えて、彼は好きな役で自己発揮することを選んだ。
それは、今でも私の脳裏に焼きつく姿である。
そういうわけで、手前から心の準備をして頂こうと思う。
そこで、友だちと畑で虫探しをしている彼の所に行き、
「ねえ、夏休み終わったら、運動会やね。
それで、リレーあるよね。」
しゃーんとうつむくA氏。
反応はやいなぁ。
「今から、そうやって、落ち込んじょってよ。
そしたら、本番できると思うわ。」
しかしながら、
すーん、とみるみる落ち込んでいくA氏。
その落ち込み方のわかりやすさが笑える。
「ぜったい、かっこいいと思うわ。
Aくんに走ってほしい。
きっと、一番かっこよく走れると思う。」
というと、隣で一緒に遊んでいたEくんが、
「おれもそう思う。」
とはっきり、言ってくれた。
いいなぁ。
そんなふうに、友だち励ませるの、いいなぁ。
その後、別の話題にすると、
すぐにすっかり気持ちを切り替えるA氏。
きっと走れる。
そんな予感。
子どものすてき。