さあ、あとは、その邪念と緊張との戦いになった。
本番当日、彼はあり得ないほど、不機嫌な表情で登園してきた。
やっぱり。
緊張が高まっている。
朝は、めっちゃご機嫌で起きたらしいが、
静かに、ひたひたと緊張が満ちてきているのだろう。
ちなみに、この年は抵抗勢力のみなさんに、
どれだけ神経を使ったか。
誰々には、誰々、誰々には、誰々と付き合いのあるSP
(担任したことがある保育者)をつけていた。
それぞれが、本当にそれぞれの緊張の仕方をし、
それをSPのおかげで乗り越え、本番は、大成功を収めた。
一クラスずつ開催でよかったですよね。
さて、L氏の緊張は職員みんなが周知しており、
そして、職員みんなが彼の成功を応援していた。
だから、彼のメンタルに徹底的に寄り添おうというのが、
我々の無言の共有事項だった。
そんなわけで、彼が本番前に、
みんなと離れて一人で練習したいと言おうものなら、
どうぞどうぞと、空いている部屋を使わせ、
彼が一人、自分に下りていって、自己調整しているのを、
傍で見守っていた。
私は、彼が自分を信じるというところで、
プレッシャーをかけたくなかった。
園では失敗率が高かったので、
2回、回すことができるから、もし失敗したら、別のできる技したらいい、
とも言っていた。
成功で終わりたかったら、それでいいというわけである。
彼も、その考え方を保険にして、
一回目失敗したら、傘回しにすると言っていた。
さて、どうするか。