とうとう、彼の出番となった。
一回目。
あぁっ。
おしくも失敗。
それにしても、なんと美しく宙を舞うのか、コマよ。
「もう一回やります。」
おおっ!!!
もう一回!
そして。
成功した。
おぉ~。
という会場のどよめきが上がる。
家で見せていた「なんか用すか。」ばりに回りはせず、
お母さんも、それがスタンダードだっただけに、
「あれって、まわった?成功?」という感じだったが、
紛れもなく、コマは手の上でまわった。
そして、会場はその感動でどよめいた。
そして、彼は、満面の笑みを浮かべた。
そういうわけで、あぁ。
よかった。
成功したんである。
ここで思うのは、
彼が頑張ったこともさるところながら、
それを支えた保護者の方と、
彼の成功を祈る先生たちの心の力である。
本番前の彼の様子を語るY先生の口ぶりは、
完璧に彼の心に同調していた。
よかったね、Lくん。
小学校でも、なんか、生き生きしてるね。
余談だが、
この年、もう一つコマにかかわって、驚くべき事があった。
それは、Sくんを筆頭に、2歳児の幾人かが、
最初から最後まで、つまり、ひもを巻いて、投げるまで、
全部一人でできるようになったということである。
うーむ。
コマ成功の低年齢化は続いていたが、
とうとうここまで。
一人、できるようになったら、その子はヒーローである。
そうすると、ヒーローをめざす子どもが現れる。
あの子ができるなら、僕も、というわけである。
そういうわけで、今年年少に進級したコマ名人3人は、
本当に男前な顔で、コマを回している。
有能感って、こういう顔なんやろうなぁ。
なんか、焦ってない感じ。
一つ一つの自分の動きを味わっている感じ。
いいなぁ。
子どものすてき。