Sくんは、ジェントルマンである。
お母さんとのお別れが辛くて、号泣する。
そこで、
「Sくんは、お兄ちゃんになるために、ここに来たからね。
すぐお迎え来るよ。」
と、声をかける。
彼は、ひとしきり泣いた後、
嗚咽をもらしながら、
「上に行く。」と言った。
はっきりとした意志には、もちろん従う。
外遊びを楽しんでほしいという今の保育者の思いよりも、
「表した気持ちは通じる」という経験の方が大事である。
彼は、涙を流しながら、
「電車で、遊ぶ。」
と言った。
「そうかそうか、電車で遊びたいのね。
よしよし、電車で遊ぼう。」
彼は、ひっくひっく言いながら、電車を手に取った。
自分で、自分を立て直そうとするなんて、
何てジェントルマンなんだろう。
泣いていいからね。
泣いた後には、きっとおもしろいことが、見つかるからね。
というわけで、2、3日もすると、
実のところ、相当のいたずら好きであることが分かった。
めでたい、めでたい。
子どものすてき