この日の朝は、目まぐるしかった。
まず、Y氏がお母さんと別れがたく、怒って泣いた。
そこへ、必ず抱っこで落ち着くH氏もやってきた。
まずは、H氏を抱っこする。
怒っているH氏も抱っこするため、
近くの畑の柵に座る。
この時私は、ブランコが気になっている。
スピードが出ない2歳児の皆さんが揺れているだけなので、
とりあえず、腰を下ろし、H氏を抱っこする。
怒っているY氏にもう一つの膝を示し、
「こっちに座れるよ。」
と言っても、手を振って、怒っている。
すると、H氏が片方にズレた。
「あ、Hくんが空けてくれた。
やさしいね。」と頭を撫でる。
すると、H氏がちょっと、「僕、がんばったが。」というように、
半泣きになる。
だが、怒っているY氏は、また、怒る。
そこへ、半泣きのKちゃんが来る。
「あ、Kちゃん、さびしくなっちゃった?」
と聞くと、涙をためて、「うん」とうなづく。
「よしよし、おいで。」
とその空いた膝に抱っこする。
後ろのブランコに戻らなくてはなるまい、
と思い、怒っているYくんに、
「Yくん、まみこ先生、ブランコに行くきね。
そこで、待ってるから。」
といって立ち上がると、
「一緒に行く」という雰囲気で近づいてくる。
そこで、背中を差し出すと、おんぶされに来た。
左手にHくん、右手にKちゃん、そして、背中にYくん。
そこで怒っていたYくんに、
「Yくん、ちゃんと足でつかんじょってよ。
まみこ先生、HくんとKちゃんと手をつないでるから、
ちゃんと力入れんと落ちるで。」
という。
すると、怒っていたYくんの足がきゅっとしまる。
「そうそう、それでいい。」
便利な抱っこ紐たちのおかげで、
股関節を使わん子が急増中であるが、
ちょっと教えると、しっかりと掴まって自分で身体を保つようになる。
自分で身体を支えない子の抱っこの重いことと言ったら。
「落ちるで!」と言いながらズリ落としていると、
すぐにコツをつかむ子どもたち。
抱っこ一つでも、大人と子どもは協力関係にあるのだと実感する。
つづく