久しぶりに、年少さんの森の保育を担当した。
急なことであったので、気合いで押した一日だった気もする。
森の中心で、鳥の声が盛んに聞こえた。
そこで、鳥笛(サクラの木に、ネジを差し込んだもの)
を取り出し、キュッキュッと音を出す。
鳥が黙る。
警戒したかな。
何回か繰り返すと、声が返ってきているような気がしてきた。
写真家の篠木さんは、普通に口笛で会話していたなぁ。
近くに来たRくんにやってみせると、
やりたいという。
そこで、彼に渡してみる。
ネジを回し続けて、
「きゅ~、きゅ~、きゅ~、きゅ~、きゅ~、」
と音がでる。
すると、ピタッと鳥たちの声が止んだ。
静まりかえる森。
その昔、奈良の鹿が、せんべえが欲しいときには、
やたらとすり寄ってくるのに、
いざ、彼らのテリトリーに近づくと、
それこそ20メートルくらい離れているのに、
ピタッと動きを止めてこちらを見ていたことを思い出した。
鹿はまさしく2重人格であったが、
鳥は普通に警戒しただけだろう。
「あぁ、鳴らし続けたら、鳥が怖がって鳴かんなった。」
と私がいうと、Rくんが、半泣きになって、
「もうせん、もうせん、これ。」と言った。
「いやいや、また鳴くから大丈夫よ。
これくっらいの音なんて。」
というと、明らかにほっとしていた。
そこで、次の子たちは、適度に「きゅよっきゅよっ」
と、ネジをひねって鳴くようにした。
Rくんの困った顔を見て、
やさしい子だなぁ。
いいこだなぁ。
と思った。
子どものすてき。