これは、一学期のことである。
お母さんは、忙しい。
お母さんは走っている。
その後を追いかけるかのように、
「うわぁ~ん!!」とNちゃんが泣く。
「ああぁ。
Nちゃん、足が速くなるといいよね~。
そしたら、間に合うね~。
ほら、見て。
お母さん、走ってるじゃん。
遅刻したら大変!
お母さんが、怒られちゃう。
Nちゃんさ~、朝、あーだこーだ言って、
すぐに色々してなかったりするんじゃないの。」
「・・・・。」
あたりやな。
「Nちゃん、足速くなろうね。
そしたら、間に合うから。」
そうして、Nちゃんは、むんむんむんと園庭の端っこから端っこまで、
意気揚々と走る子になったのであった。
子どものすてき。