Rくんと砂場で遊ぶ。
型抜きの上に、型抜きを重ねて、
つまり、ボールとかバケツとかで型を抜いた上に、
別のカップやドーナツの型抜きを上に重ねて、
大きなケーキを作る。
力加減を気にしないとできないので、割と難しい技である。
だいぶ前に二人でやってから日がたっていたが、
その間に、彼は熟練していた。
うーむ、すごい。
二人で、さらなる研究を続ける。
彼は、水分量について解説をしてくれ、
力加減をやってみせてくれ、私はただただ恐れ入っていた。
そこへ、Aくんがやってきた。
私の横で同じようなことを始めたので、手伝いながらも、
意識的には、ライバル関係的エッセンスもありながら共に何かを創ろうとしているRくんに意識が向いていただろう。
出来上がりを迎え、私とRくんは、「よし、じゃあ、食べるか。」とケーキを食べ始める。
上にのっているアイスとか、どっちが食べるかじゃんけんで決める。
そのうち、二人のじゃんけんが楽しくなる。
すると、Aくんが「僕もやりたい。」という。
すると、Rくんが「いやだ。」という。
二人の世界ができてたからね。
するとAくんがとても悲しそうな顔をする。
それを見て、Rくんは、「いっか。」(年上ですしね)とAくんを混ぜてくれる。
それで、3人でジャンケンしたら、Aくんが勝った。
私たちは、手間をかけて作ったケーキを、大事に食べていたが、
Aくんはほぼ全部壊すように、食べた。
「食べすぎやん!」
と思わず突っ込むと、
Aくんが、予想外に傷ついてしまった。
「もういい!もうやらん!」といって、にじみ出てくる涙を必死でこすり、
「もうさ、もういい。
まみこ先生のこと、大好きやけどさ、
けどさ、Rくんばっかりで、全然僕と遊ばんでさ・・・、」
大好きなのに、こんなに僕を傷つけるなんて、
僕は本当に悲しい、
というふうに泣く彼を見て、
私は内心、ものすごく深く反省していた。
だって、彼が泣くなんて、思いもよらなかったし、
私たちの付き合いは、わりに深く長いが、
他の子どもが泣くであろう場面でも、
その素振り一つ見せたことがなかったからである。
だが、私は何事もなかったように、
「ほんなら、Aくんと遊ぶわ。
これ、作ろう。こっち、私がするで。」
とさくっと遊びを始めた。
二人で、雪だるまケーキを作り、失敗し、作り、
いいものができた。
「じゃぁ、食べるか。」と二人でじゃんけんを始める。
私がちょっと食べると、彼もちょっと食べる。
先程の反省を生かし、なんだかおばさん同士のように、
少しずつ、分け合って食べる。
そのうち分かってきたが、
彼はじゃんけんがへたくそだった。
チョキしかださん。
「ちょいと、次にまみこ先生がパー出すからな。」
といって、彼に勝たせる。
そうして、勝ったり負けたりして、食べ進める。
勝たせるときは、予告する。
そうして、最後の一口的なところになる。
私が、彼に譲ろうとしたことがわかり、
彼はわざと負けて私に譲ろうとした。
そんなハートが私の心に染み入る。
即座に私は、「じゃ、一緒に食べよう。」といって、
二人で、一緒に食べた。
こうして、なんとか彼の涙を、
涙のなかにあった彼の繊細な心を回復挽回できたのだった。
子どものすてき。