Sくんが、それ、着替えをしない、手を洗わない、うがいをしないと駄々をこね、
私と粘る。
そして、やっとのことで「いただきます」ができ、
食べ始める。
少しすると、仲良しのIくんが、Sくんも大好きなミニカーで遊び始める。
とたんに、落ち着きをなくし、気が気でなくなるS氏。
そこで、確かこの間自慢げにこの形のスポーツカーを見せてたなと思い出し、
それを取ってきて、「ほら、これ取っといてあげるから、食べなさい。」
というと、「赤~。赤~。」と泣く。
赤。
仕方あるまい。
そこで、赤を取ってきて彼に見せ、ロッカーの上におく。
「ちゃんと食べんとかさんぞ。」と言って、
食べることにとりかかる。
素直に、食べ始めるS氏。
そこへ、Nくんがやってきた。
「ほら、これ。」
と同じ赤いミニカーをS氏に見せる。
S氏は、「うん、うん、」と言って、ロッカーの上に視線を投げる。
「そう、あるもんね。」と私も言って、食べることを促す。
しばらくして、またN氏が来る。
なんなん。
彼はまた、「ほら、これ赤だよ。」と言って、見せる。
同じように、彼は「うんうん。」と言って、ロッカーの上を見る。
「あるもんね~。」と相づちを打つ私。
ところがN氏は、さらに3つの車を持ってきて、
S氏の鼻先にくっつけるようにして、
「ほら、これ~。」と言う。
挑発か?と気がつき、
「なんなん、もう~。
意地悪しにきたんか、
一緒に、遊びたいんか、どっちなん!」
と突っ込む。
すると、少し、だまり、
「遊びたい・・・。」
とつぶやく。
嘘をつけ、と思いながら、
「それやったら、待ちよってや。
Sくん、ちゃんと食べてるから。」
と言い、立ち去らせたのであった。
子どものすてき