Rくんが、Hちゃんに謝ることになる。
だが、なかなか声に出せない。
「ちょっと、まだぁ?
忍者通り、行きたいんだけど。」
はぁ、それはどうも申し訳ない。
てなわけで、一度、用事を済ませてもらう。
それで、また、彼女を呼ぶが、R氏は謝れない。
「まだ、謝れないの~。
困るんだけど。
もう、上行きたいし。」
「そんな、言わんでも!!
頑張ってるんやから、待っちゃってや。」
と取りなす。
「え~、もう早くしてほし~。
なんか、女の子には謝れないわけ?
男の子は大丈夫だけど。」
「ええっ、そうなん?」
とR君を振り向くと、「うん」とか頷いている。
え、そういうことなの、これ。
と思いながら、「ほんじゃ、男の子には、謝ってるわけ?」
とHちゃんに尋ねると、
「ん~、見たことないね。」
と答える。
「そうやろ、そう思いますがな、この感じ。」
と心で思う。
それにしても、
「なんかどうでもいいけど、早くしてくんない?」
という、辛辣かつ合理的かつサバサバで男子に厳しいな女子を目の前にして、
私は多少あっけに取られていた。
そして、拉致があかんと思い、
「わかった、R君のことはもう少し待ちたいから、私が先に代わりに謝る。
Hちゃん、ごめんね。」
と彼女の両手を取って謝ると、急にHちゃんのサバサバモードがなくなり、
R君の肩を「いいよ。」と撫でていた。
うーむ。
「ごめんね」って何気に魔法の言葉かしらん。
そんなわけで、私とR君とHちゃんは、
この後ちょっと特別な楽しい時間を過ごし、
その後、Rくんは超苦手な謝罪を、
なんとか、とりあえず行ったのだった。
子どものすてき。