そして、園庭に工事が入った日。
知らない車が入って来て、Rちゃんの緊張はマックスになった。
最初は、私に付いてきたが、私が大工さんと挨拶するために近くなるので、
「あっち行こう」と笑いながら手を引く。
だが、緊張は恐怖に変わり、泣き始めた。
「怖い?」
と尋ねると、「うん。」という。
「よし、抱っこしよう。」と両手を広げると、
彼女も両手を広げた。
やったね。
こうして、私の念願は、やっと叶った。
工事の車から距離をとるために2階に行く。
そこで、本人が大丈夫になるまで、抱っこする。
ここは、なんとしても外せない時間である。
「怖い」と助けを求めているのであるから、
なんとしてもVIP対応をしなければならん。
私は、彼女を抱っこするという念願が叶った喜びに浸りながら、
「怖いと思えるあなたは、おりこうさんである」という話をし、
上から同じクラスの2歳さんの動きを眺め、二人で実況中継し、
そして、工事の様子を眺めた。
一度お部屋に入ったので、靴を履いてから抱っこしようかというと、
「靴は持っちょく。」と言った。
靴を履かなければ、
抱っこが続くということだろう。
そこで、階段に座って眺めながら、「Rちゃん靴ここに置いとこうか」と提案すると、
嬉しそうだった。
靴を履かなければ、抱っこは続く。
最初は、私の方を向いて抱っこしていて、見るのも緊張するという感じだったが、
次第にリラックスしてきて、前を向くようになった。
そして、しばらくして「靴履いとく?」という提案をうけて、靴を履き、
そして、Hちゃんがおしろい花を持って来てくれたので、
「色水する」と言い出した。
「いいね。」というと、
「ここでする。」という。
「ここ(階段)では、無理よ。」というと、「え~。」と言ったが、
そのあと、「怖くない。」とつぶやいて下におり、
色水遊びを始めたのであった。
およそ40分。
理知的でありながら、類まれな負けず嫌いを内に秘めているので、
きっちり対応すると、
きっちり治めて次に向かえる。
家で大変!!とよくお母さんが言っているが、
さもありなん、と思う。
保育は、お母さんやお父さんの苦労の上澄みをもらう仕事である。
そんなわけで、私は念願が叶い、
彼女の安心の砦になれたのだった。
子どものすてき。