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子どものすてき
きらりと光る子どもたちの姿をみなさんにお届けします。
2025年10月19日
ちぐはぐを超えて ・・・年長児

3歳の頃の彼は、反応が薄くて、物静かだった。

集中力は抜群で、世界のさまざまなことに不思議を感じ、

力強い試行錯誤を重ねていた。

 

そんな彼も、いつしか友だちに関心が向くようになった。

だが、友だちは返ってくる反応が予測不能な上に、

自分が紡いできた世界のように、意図的に作り上げることが不可能だった。

 

そんなわけで、動きが実にちぐはぐになった。

そして、みんなでうたう歌もちぐはぐで、

飛び出たり、消えたりをひっきりなしにしていた。

 

彼は、運動会で放送係を担当しているが、

最初は、実にスムーズで、すぐに全てを覚えていたが、

そのうち、笑いこけたり、ふざけたり、上がったり下がったりして、

ちぐはぐになった。

そしてある日、ものすごくトーンダウンしてぼそぼそと話すようになった。

 

本番をイメージしたか?

 

案の定、「失敗したらどうしよう」と不安の声を出したらしかった。

「そんなもん、助けるから考えんでいい。

とにかく、やりなさい。」とはっぱをかける。

 

そして次の日、改めて間違えても大丈夫であること、

忘れても助けることを何気に伝える。

彼は、はぐらかしていたが、嬉しそうだった。

 

その30分後だろうか?

彼が、すっと私の手を握って、

アイスクリームの歌をうたいだした。

年長さんが、お誕生会でうたった歌である。

 

それは、小さな声だったが、滑らかだった。

思わず、合わせて歌いだす。

私たちは、適当に歩きながら、調子を合わせて歌った。

いつもの唐突に上げ下げする歌のちぐはぐさは、

すっかり鳴りを潜めており、私たちの声は、調和していた。

そして、クライマックスへと自然に盛り上がり、

「やったー。」というポーズと共に終わった。

 

日頃の「ザ・ちぐはぐ」の中身はなんだろうか。

きっと、恥ずかしさやどうしていいか分からん心があるのだろう。

その奥底には、ちゃんとやりたい思いがある。

それを感じ取った私は、なんとしても成功させてやりたい、

そう思ったのだった。

 

そして本番。

彼は、ちぐはぐ率0.01パーセントのすばらしい出来栄えで、

役目を無事全うした。

次の日、身長まで伸びて(背筋が伸びたのかしらん)、

実にすばらしい晴れ晴れとした笑顔で登園してきた。

そのすっきり感は、持続中だ。

 

運動会といううねりの中を生き、

そこで目的と課題に直面し、追い込まれ、それを乗り越えて成長する。

 

子どもってすてき

 

 

 

 

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