3月、卒園生たちは将来の夢を考え始めます。
私は、卒園生と将来の夢の話をするのが大好きで、
「え~!ケーキ屋さん。
ほんなら、まみこ先生の60歳のお誕生日にケーキ作ってよ、
ただで。」
とお願いしたところから、
去年は、まみこ先生の60歳の誕生日を企画する話し合いがテラスで行われた。
職員室横のテラスにテーブルを出して、ある子は私のパーティーのドレスをデザインしてくれて、ある子は、宝石をデザインしてくれた。
「いいねぇ。60歳って言ったらおばあちゃんだから、
かわいいおはあちゃんになれるね。」
それから、レストランの食事を絵にかいてくれて、おいしいケーキをたくさんデザインしてくれた。
「パーティーどこでする?」とAちゃん。
「うーん、新阪急ホテル。」
「何時?」
「6時かな。何、ここにまみこ先生迎えに来てくれるの?」
「いや、準備でいそがしいかも。」
「じゃ、ホテルに部屋をとって、そこでドレスとか来て、
時間になったらレストランに行く?」と私。
「それがいい。
・・・、でも、忘れたら?待ち合わせ。
いかん、まみこ先生携帯もっちょって。」
「携帯!で、メールとかする?」
「ううん、メールせん。携帯で電話する。」
ここまで、話が具体的だと、なんだかすごく嬉しくなる。
そして、その日は、特別にお昼をホールで卒園生はと組4人と私だけで食べることになった。
私が、ホールに入ると、4人がさっと立ってくれて、
「60歳のお誕生日、おめでとうございます!」
と声をそろえていってくれた。ふふ。さっきまでの話で、すっかり気分を盛り上げてくれたんだね。
ありがとう。
やけんど、あと何年後やろう。
楽しみだなぁ。ほんとうにありがとう。
のどかに、夢を語って、想像する幸せ。
実際のところ、60歳のとき、どこで、何をしているのか、どうなっているのか、
誰にもわからないけれど、
子どもはいいな。
こんなふうに、愛情をそのまま分けてくれる。
柔らかなストレート。
保育者はほんとうに、幸せ者。
ちなみに、私は、あらゆる子どもに夢を聞いて、
それを是非、幼稚園にタダでよろしくと言ってまわり、
例えば、医者だったら、ただでお腹をみてくれとか、
大学の先生だったらタダで子どもに教えに来てくれとか、
庭師だったら、タダで、園庭よろしくとか、
で、T先生は「そのタダというのが、納得がいかん。ちゃんと払わんと・・・。」
とか言っていて・・・。やけんど、本気の私であった。
そして、今年。
ほんの先日、小学生になっているAちゃんが弟のお迎えに来た。
そして、ぽつりと、
「Kちゃんが60歳のこと、覚えちゅうろうかって言いよった。」
!!!
「覚えてます。覚えてます。」
「どこで、やるがやったっけ。」とAちゃん。
「新阪急ホテル。」
「え?」と真面目に「そうやったっけ」顔のAちゃん。
そして言うことに、
「自分で予約して。」
ぷっ。
「自分で予約して!全部自分でやって!」
Aちゃんは、こう言い放ち、お帰りになったのであった。
わはは。
けれど、私の心には、ぽっと桜が咲きました。