新入生は怒る。
よくも俺様を、幼稚園なんぞに入れやがったな!
というわけで泣く。
門の前で、足でけりつつ、つかみつつ、泣く。
ここには、お母さんがいないじゃないか!
ぼくは、お母さんのところに行きたいんだ!
登園で、門を出入りするお母さんたちが、
手を挟まないかと心配する。
「開けて大丈夫です。」
といって開けてもらうと、案の定、さっとよける。
繰り返すこと、8回。
泣きわめくが、冷静です。
しばらく泣いて怒っていただいてから、Rくんに問いかける。
「ねぇ、Rくん。
なんで、おかあさんはRくんを幼稚園に入れたのかな。
Rくんちには、こん大きな滑り台ある?
鉄棒も・・・。こんな大きな砂場もないよね。
お母さんは、なんでRくんを幼稚園に入れたんだろう。」
・・・。
「それはね、Rくんがもうあかちゃんじゃないからよ。
お兄ちゃんになったから。
(おねえちゃんの)Mちゃんだって、あかちゃんから子どもになって、お姉ちゃんになって小学校に行ってるでしょう。」
Rくんの表情が変わる。
「滑り台する? できる?」
「うん。」とうなづくRくん。
「ほんと?よし、行ってみよう!」
と滑り台へ上る階段の方に歩いていくと、
ん?来てない。
戻ってみると、なんと不敵な笑いを浮かべて、綱から坂を上がっていた。
「わぁお。Rくんすごいね。そんなところから、登れるの!」
それから、Rくんは、自分ができることをいろいろと見せてくれた。
その男気!
心底、感動した私だった。
それから、
「Mせんせいが心配してるから、おはようって言いに行こう」
って言って、二人で一緒に言いに行った。
そのときの「うんっ」っていう力強さ。
いいね。
3歳の男気。
子どものすてき。