森へ行くバスの中、Sくんがおもむろに言う。
「まみこせんせい、まみこせんせいは、お化粧とったらやまんばなが?」
お、うわさは順調に広まっとるな。5年越しだけど。
「そうそう。お化粧とったらやまんばになるが。
それで、爪がショーンショーン、ションションショーンって伸びて、
Sくんのほっぺを食べるが。
やけんど、まみこせんせいSくんのお家しらんがやよね~。」
ここで、真面目にほっとするSくん。
前園長が「やまんば」だったので、もちろん今の園長も「やまんばです」と子どもたちには教えていて、
夜になったら角が生えて、牙が生えて、爪が伸びて、子どもを食べに行くといううわさを積極的に広めている私である。
ちなみに、若草には、お泊り保育の朝早くに、
先生たちが子どものおしりのしっぽを確かめに来るという
都市伝説ならぬ若草伝説がある。
それも子ども発子どもの中で広まった伝説。
おねしょの確認なんですがね。
「やまんばって何食べるが~?」
とある子。
T先生が、昔話風に、山に居て迷った旅人を食べるんだとお話ししてくれる。
T先生、もしかして「やまんば」とお友達なんじゃ・・・、というリアル加減。
「まみこせんせいはね~、子どものやわらか~い、ほっぺとか、おしりが好きなのよね~。」
と、Sくんが言う。
「まみこせんせい、ぼくのね~、靴の匂い嗅いだら、
くさい、って思うと思うで。」
あはははは。
「くつのにおいかいだら、くさい、って思うと思う。」
あはははははは。
それで、撃退や。
それから、すくすくの森には「やまんば」おるがやろうか、
とある子がいいだし、
いや~、おらんろ、
やまんばにも縄張りがあるからね~、まみこせんせいおるし、
とかなんとか言って、
「やまんば」を撃退する武勇伝を子どもが妄想してしゃべっている間に、
ぶじ、
森につきました。