ときどき、子どもの心に、鬼が入る。
「人にやらすなんて、卑怯や。
そんなん、弱い人間のすることや。
強うなりや。」
固く結んだ口とうなづく目から、涙があふれる。
「人に言われたからするなんて、
それも弱い人間のすることや。
それでええんか。」
泣きはらした目に、また涙がにじむ。
「人の顔をけろうとするなんて、どういうこと?
もし、目にあたって、目が見えんなったらどうする?
あなたの目をあげるんですか。」
首をふりながら、どうしようもなく涙がこぼれ落ちる。
けれど・・・。
前と違うね。
前は、いろんなことがあったとき、
「もう、なしにしたい。」「自分じゃない。」って思いたい、
そんな涙だった。
今は違う。
逃げられない場所で、
自分がやってしまったんだと思う涙。
ふるえながら、自分のことを受け止める涙。
未熟な心が、強くなる。
子どものすてき。