ある朝、Yちゃんが両手を広げて駆け寄ってきてくれた。
私は、彼女を抱き上げ、そして、浮かせて、そのまま着地させた。
「あ、ちがった。」と思う私。
そして、「え・・・?」と思うYちゃん。
そう。ちがうよね。あそこは、ぜったいに抱っこだった。
あぁ、どうしよう。ごめん、Yちゃん。
だけど、時間は巻き戻せない。
その思いを残しまま、数日がたった。
ある朝、Yちゃんがしゃがんで砂いじりをしていた。
その横に、私もしゃがんでみる。
そして、「この間さー、Yちゃんのこと、抱っこせんかったよね~。」
あのことを後悔しているの、というようなことを言ってみる。
すると、Yちゃんの動きがとまった。
あぁ、やっぱり、そうだったよね。
だけど、もう、「だから抱っこする」という距離は私たちにはなかった。
と、ある日!
Yちゃんの泣き声が聞こえてきた。
お母さんと離れたくない様子。
よっしゃ!きた!
と思ったどうもとせんせい。
「Yちゃ~ん。
Yちゃんの泣き声が聞こえたから、やって来ましたぁ~。
Yちゃん、まみこ先生、
ずっとYちゃんのこと抱っこしたかったが。
やっと、抱っこできる~。
はい、ちょっと抱っこさせて。」
と抱っこする。
あ、両手をあげてくれた。
横で、微笑んでくれるお母さん。
ちゃんと抱っこさせてくれたYちゃん。
それから、二人でいろいろお話しして、
それぞれの生活に戻りました。
やっと、抱っこできた、Yちゃん。
よかった。