入園面接のとき、彼はずっと相手をからかっていました。
しかし、その眼は少しも笑っておらず、
相手がどんな人間か見極めようと、光っていました。
入園してから、彼は、いつも感じている問いの答えを、
見つけようとしました。
「あなたなの?」
「僕の全てを受け入れてくれるのは、あなたなのか?」
これは、常に彼らがもっている欠落感ゆえの根本的な問いであり、
それは誰かと出会うたびに顔を出してきて、
試すという行動をもたらします。
けれど、いつものように「あなたかもしれない」という思いは、
裏切られます。
相手は、自分が必要とする分だけは、与えてくれないのです。
しかしそのときの先生は、毎日毎日、一つだけ、
彼と付き合ってくれました。
それで、彼は、それがとても上手になりました。
二人の共同作業で成り立つ出来事。
それは、一つ、彼の心に花を咲かせました。