園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2014.10.20

背中・・・年長児

 

心を自分でコントロールすることは、

大人でも、とても難しい。

 

今、自分がしていることよりも、

もっと魅力的なことが目の前で起こっていたら、

そこに向かいたくなるのが、人というもの。

 

なのでKくんは、運動会の係りの練習で、

自分の役割を一回すると、

道具を首から外して、そっちへ行く。

 

Kくん、Kくんは、笛の係りなが。

 だから、走らんが。

 ね、笛、吹いて」

 

「はい、Kくん、終わり―。

 あなたは年長さんです。

 こっちに来て、笛を吹いてください。」

 

「・・・。

まぁええか。」

 

と何度、彼と攻防をしたか。

 

それでも、本番はやるであろうと思っていた。

 

そして本番。

 

彼は、一度役割を済ますと、首から笛を外し始めた。

そう来たか。

 

Kくん。そうじゃない。

 今日は、そうじゃない。

 Kくんは、年長さんで、係りなが。

 今日は、やるが。」

 

と声をかける。

 

と、Kくんは、後ろを向いた。

でも、動かない。

うつむいて、動かない。

 

その背中に手をあてた。

 

Kくんが考え、自分の思いと戦う、その背中に、

私は手で、語りかける。

 

そして、

Kくんは、

こっちを向いた。

 

「やるのね。」

 

というと、うなづき、私から笛を受け取った。

 

小さなドラマ。

けれど、Kくんにとっても、私にとっても大きかったドラマ。

 

よかった。

心底、嬉しかった。

 

子どものすてき。