園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2015.04.10

山の上で ・・・年少児

 

初めての幼稚園。

初めての人たち。

初めての場所。

 

そこに一人。

 

男気で、頑張ってみるTくん。

ぜったい保育室には入りたくない。

 

だけど、僕は一人だという気持ちはどうしようもなく、

やがて、わんわん泣いた。

頑張ったね。

Tくん。

 

次の日。

彼は、泣くときに、ハンカチをポケットから出し、

それを両目にあてて、涙をふきながら泣いた。

 

ハンカチで、涙をふいてる。

こんな年少さんは、初めて見た。

 

彼は、簡単に抱っこさせてくれなかった。

だから、時々、お膝に抱いて、

お話をした。

 

ブランコが好きみたいで、

ブランコに乗ると、少し、顔が晴れやかになった。

交代すると、そのまま、山の上に行って、

てっぺんで立ち止まると、

悲しくなって、わーんと泣き、

ハンカチをポケットから出して、涙をふいた。

その手をとって、

ブランコに誘うと、きれいにそのハンカチをたたんで、

ポケットにしまい、私の手をとった。

 

そして、また、ブランコに乗って、

また、山の上に行き、

また悲しくなって、ハンカチに目をおしあてて泣き、

それから、またハンカチをたたんでポケットにしまって、

ブランコに乗った。

 

「山の上に行くと、悲しくなるね。」

というと、

「うん。」

とうなづいた。

 

見ることは、

孤独。

 

私に、タイムリミットが来た。

彼を抱っこして、しばらく一緒にいてから、

別れた。

 

彼は、私から離れたくない素振りを何度か見せたが、

私は、「ごめんね。」といって担任の先生に託し、さよならした。

そのとき、彼は、ぐっと顔を険しくした。

気を立て直すような、険しい顔。

 

不本意な自分。

涙なんか、見られたくない。

知らない人に、頼りたくないのに、

頼らないと、いられない。

お母さんがいいのに、会えない。

ここにいるしかない。

そんなものを、幼稚園の子になったからと、

引き受けようとする、男気のある心。

 

3歳でも、りっぱな心構えがある。

 

それからTくんは、担任の先生のそばにいて、

涙を終えることができ、

先生のやさしさのそばで、過ごしました。

次の日も最初はだいぶ泣いたけど、

保育室にいられるようになりました。

 

少しずつ、柔らかくなる。

子どものすてき。