園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2015.05.10

だいこんの夢

 

あるところに、だいこんがありました。

このだいこんは、月の光と銀の糸でつながっていましたので、

とても長生きでした。

月の光は、だいこんを温かく包むことはありませんでしたが、

その光で、だいこんは夢を描くことができました。

それは、おいしいサラダやおでんやステーキになる夢でした。

月の光があるときは幸せで、ないときは、朝が来るのが苦痛でした。

 

そんなだいこんは、いつも色んな夢を描いていましたが、

実際のところ、そのために、皮を剥かれ、切り刻まれ、すりおろされるのが、

どうしても受け入れがたく、だから、夢を見るだけでいいなと思っていました。

どうも、それらの出来事がだいこんの美意識に反するものなのです。

 

そうして、長い長い年月が経ちました。

だいこんは、自分では外に出られないので、ずっとそのままでした。

 

そんなある日、白いジャケットを着た、白いお髭の、

とても大きなおじいさんがやって来て、

なんの意図もなく、だいこんをズボンとひき抜きました。

 

だいこんは、それで、心の扉を開いてみて、考えることをやめました。

 

すると、小さな女の子がやって来て、

だいこんをその胸に抱きしめました。

 

だいこんは、初めて、心の底からほっとしました。

そして、こう思いました。

 

さくらが見たいな。

 

妄想のすてき。