朝、登園してきたTくんと目が合う。
ん?泣いてる?
「どうした、Tくん。」
しばらく、たたずみ、泣きそうな表情でこういった。
「落とした。」
「落とした?何を?」
「旗。」
「あぁ、旗ね。」
「濡れた。」
「濡れた!見せて。」
「消えちゅう、直せん。」
と涙ぐむ。
運動会で使う、お家で作ってきた旗を見せてもらう。
「おっ、日の丸やん!ここで日の丸を選べるってすごいなTくん!
Tくんは天才や!
ん、確かに、濡れてるね。
そうかそうか、大丈夫。やり直せる。
それにしても、日の丸を選ぶなんて、Tくんは天才で。」
と、彼は相変わらずの小さな声でこう言った。
「簡単そうやったき。」
ずこっ。
そうやったですか。
それで、本当は緑に赤い丸のバングラディシュを最初はやりたかったけど、
難しそうだったから、日の丸にしたとのことであった。
そして、お姉ちゃんが手伝ってくれた、
というよりは、ほとんど、全部やってもらったような感じでもあったので、
よしよし、幼稚園でもう一回やろう、
ついでに、緑と赤のバングラディシュと日の丸と両方やろう!
ということで、先生とやり直したTくんでした。
運動会では、バングラディシュの旗が軽やかに舞いました。
よかったね。
子どものすてき。